27df1f5a1b6148f3cd7f4fdbe8647bb65fc01871
2304。
亀井さんによる最後のバージョン (0.2.2.235) がリリースされてから、
有志による 0.2.2 系列最初のバージョン (0.2.2.236) がリリースされるまでに
かかった日数であり、また (expt 48 2)
でもあります。
xyzzy 0.2.2.236 では 34 件の機能追加と、51 件のバグ修正を行なっています。 これらの修正は以下に上げる 11 人の有志の手により行われました (辞書順、敬称略、抜けがありましたらご連絡ください)。
0.2.2.236 は 0.2.2.235 との互換性を重視したバージョンです。 今まで利用してきた拡張はそのまま動作することを期待してもよいでしょう。
インストーラはありませんので zip を展開するだけです。 インストールから初期設定までは以下を参照してください。
以下の手順で 0.2.2.235 からアップデートしてください。
lisp/ 配下や etc/ 配下をカスタマイズしている場合は 上書き後に再度カスタマイズをお願いします。
mode-line-format
に %/
を追加しました。(#26, mumurik)
%/
はカーソル位置がバッファ全体の何% の位置にあるかを表示します。
mode-line-format
と title-bar-format
に %$
を追加しました。(#164, x022235)
%$
は xyzzy のプロセス ID を表示します。
Windows 7 のジャンプリストに少し対応しました。(#31, x022235)
xyzyz に関連付けたファイルをダブルクリックして開いた場合などに ジャンプリストの最近使ったファイルに追加されます。
xyzzy 内から C-x f
などで開いた場合はジャンプリストには反映されませんが
今後対応予定です。
ショートカット作成ダイアログを追加しました。(#154, x022235)
ジャンプリストを利用するにはここで作成したショートカットを タスクバーに登録するようにしてください。
エアロスナップでウィンドウサイズを変更した場合もサイズを覚えるようになりました。(#153, x022235)
0.2.2.235 ではエアロスナップでウィンドウサイズを変更すると、xyzzy 再起動後に スナップ前のサイズに戻ってしまっていました。
「共通設定」→「さまざま」→「エアロスナップで変更した場合も保存」をチェックすることで スナップ後の位置を復元するようになります。
コマンドライン引数の -f オプションでパッケージ指定に対応しました。(#171, x022235)
xyzzy.exe -f pkg:pkg-function
という形式でパッケージ内の関数を実行できます。
sql-mode
で以下の機能を追加しました。(#178, x022235)
M-Tab
)キーワードファイル更新しました。(#46, x022235)
css-mode
のデフォルトを CSS3 に更新しました。
*css-level*
でデフォルト値を設定可能です。css2-mode
, css3-mode
で切り替えることも可能です。*css3-keyword-files*
で読み込むモジュールをカスタマイズ可能です。etc/HTML5
<!DOCTYPE html>
の場合に自動的に HTML5 キーワードが有効になります。html+-mode
を使っている場合は以下の設定をすることで HTML5 キーワードを利用できます。
;; html+-mode で HTML5 キーワードを利用する
(in-package :editor)
(setq *html+-use-html-kwd* t)
(in-package :user)
;autoload を使わない場合は *html+-use-html-kwd* 設定後にロードする
;(require "html+-mode")
新規の HTML ファイルを作成した時に自動的に HTML5 キーワードを有効にしたい場合は 以下の設定をしてください。
(setq *html-default-doctype* "HTML5.0")
etc/Perl
DBMS 固有のキーワードを利用したい場合は、*sql-keyword-file*
に利用したい
キーワードファイルをリストで設定してください。
(setq *sql-keyword-file* '("SQL" "Sql-NonStd/Oracle"))
(setq *sql-keyword-file* '("SQL" "Sql-NonStd/SQLServer"))
(setq *sql-keyword-file* '("SQL" "Sql-NonStd/MySQL"))
(setq *sql-keyword-file* '("SQL" "Sql-NonStd/PostgreSQL"))
calc-mode で人生、宇宙、すべての答えを計算できるようになりました。(#180, x022235)
カレンダーの祝日を現行法にあわせました。(#1, southly)
tar32.dll Ver2.35 から利用できるようになった lzma および xz の圧縮と展開に対応しました。(#1, southly)
IME の前後参照変換に対応しました。 MS-IME や ATOK などを利用している場合に変換精度が上がります。(#1, southly, miyamuko)
ウィンドウを分割していない状態で scroll-other-window
などを実行した場合の
エラーメッセージを改善しました。(#6, prtnog)
x64 マシンで c:/Windows/sytem32/drivers/etc/hosts が開けない問題を修正しました。(#4, x022235)
また、C:/Windows/SysWoW64/drivers/etc ディレクトリを作成しておくことで C:/Windows/System32/drivers/ から etc/ の補完ができまるようになります。
xyzzy Lisp が長時間応答がなくなった場合でも C-g
が効くようになりました。(#19, mumurik)
マルチディスプレイ利用時にツールチップやダイアログが常にプライマリモニタに 表示される問題を修正しました。(#56, x022235)
マルチディスプレイ利用時にプライマリモニタ以外で xyzzy を終了すると 次回起動後にウィンドウ位置が正しく復元されない問題を修正しました。(#56, x022235)
タグファイル作成時の初期ディレクトリを XTAGS ファイルから取得するようになりました。(#125, southly)
例えば $XYZZY/ でタグファイルを作成しておくと、$XYZZY/ 配下のファイルを開いて タグファイルを作成ダイアログを開くと自動的に $XYZZY/ がデフォルトの ディレクトリとして表示されます。
カーソルが単語の末尾にあるときに辞書を引くとその単語を調べるようになりました。(#141, x022235)
調べたい単語を入力して C-c e
とすると入力した単語を辞書で引きます。
共通設定の「[...]はワイルドカード」の設定が保存されるようにしました。(#1, southly)
Windows プログラムの DLL 読み込みに脆弱性に対応しました。(#1, southly)
「plink name@example.jp ls」と plink を利用しようとすると 「Unable to read from standard input: ハンドルが無効です。」 というエラーになるのを修正しました。(#1, southly)
ファイルサイズが 0 のときの (正確には改行がないファイルのときの) 改行コードが
*default-eol-code*
に基づいた改行コードになるようにしました。(#1, southly)
hash-table が rehash した後の GC のタイミングでクラッシュする問題を修正しました。(#1, southly)
循環参照がある場合の評価結果の印字でスタックオーバーフローするのを修正しました。(#1, southly)
ハッシュテーブルの要素数が 80000 を越えるとパフォーマンスが低下していた問題を修正しました。(#1, southly)
lisp-mode
でマクロをインデントするときに、&body
の位置から
自動的にインデント位置を決定するようになりました。(#8, youz)
ed:lisp-indent-hook
が設定されていない場合のみ動作します。
lisp-mode
でパッケージ名の補完ができるようになりました。(#144, x022235)
シンボルを一つも export していないパッケージは補完候補に表示されません。
reference.xml を同梱しました。(#12, x022235)
0.2.2.236 で追加した API は記述済みです。
info-modoki-mode でリファレンスを引くためには xy-reference をインストール後に 以下を評価してください。
(require "xy-reference")
;; キャッシュを削除
(setf xy-reference::*lookup-cache* (make-hash-table :test 'equal))
(setf xy-reference::*index-result* nil)
(delete-buffer *imm-buffer*)
;; reference.txt 生成
(xy-reference:2txt)
HTML Help 版が必要な場合は HTML Help Workshop インストール後に、 追加で以下も評価してください。
;; reference.chm 生成
(xy-reference:2hh)
lisp キーワードファイルを同梱しました。(#22, x022235)
0.2.2.236 で追加した API は記述済みです。
*features*
に :widnows-8
:windows-7
:windows-vista
を追加しました。(#23, x022235)
OS ごとに処理を変えたい場合は (featurep :windows-7)
などと出来ます。
また、#+
と #-
を使った読み込み時条件分岐 (Read Time Conditionals) でも利用できます。
*features*
に :x86
:x64
:ia64
:wow64
を追加しました。(#24, x022235)
マシンアーキテクチャごとに処理を変えたい場合に利用できます。
defpackage
に :documentation
を追加しました。(#38, x022235)
ドキュメントを取得するには (documentation (find-package :foo) t)
とします。
SHA2 を計算する以下の関数を追加しました。(#39, x022235)
si:sha-224
si:sha-256
si:sha-384
si:sha-512
HMAC-SHA2 を計算する以下の関数を追加しました。(#40, x022235)
si:hmac-sha-224
si:hmac-sha-256
si:hmac-sha-384
si:hmac-sha-512
GUID を作成する以下の API を追加しました。(#162, x022235)
si:uuid-create
プロセス ID を取得する以下の API を追加しました。(#164, x022235)
si:getpid
削除されたウィンドウかどうかを返す API を追加しました。(#1, miyamuko)
ed:deleted-window-p
環境変数を追加する API を追加しました。(#1, southly, miyamuko)
si:putenv
スペシャル変数 *read-eval*
が機能するようにしました。
#.
リーダーマクロによる読み込み時評価を制御できます。(#1, southly)
(let ((*read-eval* nil))
(read-from-string "#.(+ 1 1)"))
=> Line 1: リード時の評価が許されていません
現在のバッファの色設定を取得する API を追加しました。 set-buffer-colors で設定した色を取得できます。(#1, southly)
ed:get-buffer-colors
make-process にキーパラメータ :show を追加しました。(#1, southly)
ユニットテスト フレームワークを追加しました。(#5, bowbow99)
zlib 1.2.6 へ更新しました。(#155, x022235)
list-all-packages
がコピーを返すようになりました。(#7, youz)
defstruct
の以下のバグを修正しました。
defpackage
の以下のバグを修正しました。
他のパッケージから import
したシンボルを export
すると補完候補が重複する
問題を修正しました。(#143, x022235)
ファイルとソケットに対する si:*stream-column
が誤った値を返す問題を修正しました。(#166, x022235)
ヒストリファイルと同様にセッションファイルも書き込み時に *print-length*
などの影響を受けないよう修正しました。(#1, southly)
equalp
に hash-table を渡すと多値が返ってくる問題を修正しました。(#1, southly)
sxhash
の値が equalp
用の値になっているが equal
用の値になるように修正しました。(#1, southly)
(= (sxhash (list "ABC")) (sxhash (list "ABC"))) => t
(= (sxhash (list "abc")) (sxhash (list "ABC"))) => nil
lambda form をコンパイルするとレキシカル変数を参照できなくなっていた問題を修正しました。(#1, southly, youz)
(defun test1 ()
(let ((a 1))
((lambda () a))))
=> test1
(test1)
=> 1
(compile 'test1)
=> test1
(test1)
=> 1
abbreviate-display-string
で必要以上に文字列が省略されることがあるのを修正しました。(#1, southly)
let
や let*
で同一のスペシャル変数に対して複数回の束縛を作ったときの値が
おかしいのを修正しました。(#1, southly)
(defparameter *special* :global)
(let* ((*special* :local-1)
(*special* :local-2))
*special*)
=> :local-2
let
や let*
で同一のスペシャル変数に対して複数回の束縛を作ると、
スコープが外れたときに値が書き換わってしまうのを修正しました。(#1, southly)
(progn
(defparameter *special* :global)
(let ((*special* :local-1)
(*special* :local-2))
*special*)
*special*)
=> :global
macroexpand
で二番目の戻り値が返っていなかったのを修正しました。(#1, southly)
(macroexpand '(push 1 x))
=> (setq x (cons 1 x))
=> t
flet
, labels
, macrolet
で引数のチェックがおかしかったのを修正しました。(#1, southly)
(flet () 3) => 3
(flet ()) => nil
(labels () 3) => 3
(labels ()) => nil
(macrolet () 3) => 3
(macrolet ()) => nil
list-length
でリスト以外を渡した場合にエラーにするようにしました。(#1, southly)
(list-length :foo)
=> 不正なデータ型です: :foo: list
(list-length '(a . b))
=> 不正なデータ型です: b: list
nthcdr
にドット対を渡した場合に値が取れな方のを修正しました。(#1, southly)
(nthcdr 0 '()) => nil
(nthcdr 3 '()) => nil
(nthcdr 0 '(a b c)) => (a b c)
(nthcdr 2 '(a b c)) => (c)
(nthcdr 4 '(a b c)) => nil
(nthcdr 1 '(0 . 1)) => 1
(nthcdr 3 '(0 . 1)) => nil
最後のケースはエラーにすべきだけど、とりあえずそのままにしてあります。
single-float-epsilon
, single-float-negative-epsilon
がおかしかったのを修正しました。(#1, southly)
ダンプ作成時にロードしたファイル名がそのままダンプファイルに保存される ようなので、起動時にも初期化するように修正しました。(#1, southly)
applyhook
, *applyhook*
をローカル関数に対応させました。(#1, southly)
listen
が EOF のときに nil を返すように修正しました。
string-stream
と file-stream
だけです。(#1, southly)
save-window-excursion
で正しく多値が返らない場合があるのを修正しました。(#1, southly)
long-operation
の戻り値が prog1
相当になっているのを progn
相当になるよ
うに修正しました。(#1, southly)
(set-buffer-modified-p nil)
をした時に以前更新なし状態だった点が
更新無し状態のままなのを修正しました。(#1, southly)
(setq inverse-cursor-line t)
の状態にすると行カーソルと折り返し線の
交点が反転したまま残ってしまうのを修正しました。(#1, southly)
シンボルがキーのハッシュテーブルをダンプファイルに入れた場合、
gethash
で値がとれない問題を修正しました。(#1, southly)
shell-alternate-send-input
で不正な文字が送られていたバグを修正しました。(#1, southly, 名無しさん)
ole-method
で文字列を渡すと余計な 0x00 が付く問題を修正しました。(#1, southly, miyamuko)
戻り値が double, float の C 関数を呼ぶとクラッシュする問題を修正しました。(#1, southly)
start-timer
の継続処理で初回だけ二度連続実行される不具合を修正しました。(#1, southly, シバ某)
format
書式のバグを修正しました。(#1, #2, southly)
(format nil "~0,1T")
"" ; 0.2.2.235
" " ; 0.2.2.236
(format nil "~VT" nil)
Vパラメータの型が不正です ; 0.2.2.235
" " ; 0.2.2.236
(format nil "~,,VF" 3 pi)
"3.141592653589793d0" ; 0.2.2.235
"3141.592653589793" ; 0.2.2.236
(format nil "~10g" 1.23456d+38)
"^@^@^@^@^@^@ " ; 0.2.2.235
"123456000000000000000000000000000000000.0 " ; 0.2.2.236
(format nil "~E" 123.45)
"123.45" ; 0.2.2.235
"1.2345e+2" ; 0.2.2.236
(format nil "~@F" 123.45)
"123.45" ; 0.2.2.235
"+123.45" ; 0.2.2.236
(format nil "~16,10,'*,'-,2:R" #x123abc)
パラメータが多すぎます ; 0.2.2.235
"**12-3a-bc" ; 0.2.2.236
Common Lisp 互換の文字を追加しました。(#35, x022235)
Common Lisp xyzzy Lisp char-code
--------------------------------------
#\Backspace #\C-h 8
#\Tab #\TAB 9
#\Newline #\LFD 10
#\Linefeed #\LFD 10
#\Page #\C-l 12
#\Return #\RET 13
#\Space #\SPC 32
#\Rubout #\DEL 127
machine-type
, machine-version
, machine-instance
を追加しました。(#41, x022235)
machine-instance
は ed:machine-name
と同じ値を返します。machine-type
, machine-version
などもあまり利用することはないと思いますが、
CL のライブラリを移植しやすくするために追加しました。lisp-implementation-version
, lisp-implementation-type
を追加しました。(#42, x022235)
software-version
, software-type
と同じ値を返します。repl 変数名を lisp パッケージから export
しました。(#147, x022235)
xl-repl と rx を組み合わせた場合にロード順によってはエラーになる問題を 回避するための修正です。
NetInstaller で入手可能な以下のパッケージは 0.2.2.236 では 本体に同梱しています。インストールすると古いファイルで上書きされるので インストールしないようにしてください。
keyword file 2007.12.25 2007/12/25 01:27 | 2007.12.25 2007/12/25 01:27
reference.xml 2007.12.25 2007/12/25 01:23 | 2007.12.25 2007/12/25 01:23
format の ~n@A
書式がバグっている
このバグの修正は影響範囲が大きいので修正されません。
(format nil "~10@A" "hoge")
"hoge " ; 0.2.2.235, 0.2.2.236
" hoge" ; 本来の仕様
人生、宇宙、すべての答え * 2 を計算できない (#181)
約 6 年ぶりにリリースされる xyzzy はこの 0.2.2.236 だけではありません。 既に以下の派生バージョンがリリースされています。
また、NANRI 氏が 2008 年から xyzzy.src にて継続的にバグ修正をおこなって くれています。
0.2.2.236 はこれらのプロジェクトから多くの刺激とコードを得て作成されました。 謝意に代えて 0.2.2.236 をリリースさせて頂きます。
複数の派生版が存在することに混乱する人がいるかもしれません。 とっとと統合しろと思う人がいるかもしれません。
ですが、多様性は善です。
多様性は競争を促し、競争は進化を促します。 xyzzy がこれからも進化していくためにもこれらの多様性は必要です。
協調できるとこは協調し、競争すべきところでは競争しながらお互いに進んでいくのが 6 年のブランクを取り戻すためには丁度よいと思います。
なお、拡張 Lisp の作者さんの中には複数の派生版への対応に悩む人もいるかも知れません。 その人には以下のプロジェクトを紹介しておきます。
最後になりましたが xyzzy を作成し、0.2.2.235 でフリーなソフトウェアから なんとなく OSS ライセンスに変えてリリースして頂いた亀井氏に感謝します。
以上へなちょこメンテナではありますが、今後ともやる気のなさを引き継ぎつつ 開発を継続していきたいと思います。
(provide "xyzzy-0.2.2.236")